第6回 NON定例会の報告 (三村寛子・友滝愛・岩本ゆり)

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開催日・場所
平成19年8月11日(土) 13:30-16:30、東京(国立国際医療センターにて)

参加者
15名(相談員、看護師、助産師、医療コーディネーター、ジャーナリスト、ファシリテーター、患者)

ゲスト:池田和子さん CN:島田恵さん、山田由紀さん
国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター患者支援調整官としての実践より、エイズ治療における意思決定の実際をお話して頂きます。

内容/テーマ
2007-2008 年間テーマ
「医療における意志決定支援」 第1回

?「ACC患者支援調整官としての実践より、エイズ治療における意思決定の実際」?
※ACCとは、AIDS Clinical Centerの略。

参考資料
国立国際医療センター/エイズ治療・研究開発センター

1.HIV感染症とAIDSの違いについて
HIV感染症はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染し、免疫レベルが下がっている状態。AIDSは、HIV感染症によって、指定された23の日和見感染症を発症している(したことのある)状態を言う。

2.日本の抗HIV薬承認状況について
・1996年までは3剤しかなかった。つまり、患者さんは薬を選らべなかった。
・1997年以降、承認薬が増えるが、高い薬代を払える人ばかりではなかったことため、薬はあるのに薬を手にすることができないこということがあった。
・1998年以降、障害者手帳によって、薬代を国が負担してくれる制度ができる。しかし、自分が「障害者」だと認めたくない、障害者手帳を申請することにより自分がAIDSだと知られてしまう等の理由によって、障害者手帳がうまく活用されなかった時期もあった。
→ 現在は18剤の薬が承認されて、多剤併用療法が行われている。

3.HIV感染症治療の問題点について
・治療を開始する時期は検査データによる身体状況と本人の意思(結核のように強制的に治療することは法律上できない)
・治療期間が60年以上と長く、常にセルフモニタリングが必要。(未知な副作用出現の可能性。服薬を中止することによる耐性菌蔓延の危険)
・治療をしたくない人がいても、倫理的観点からしか治療を進めることが出来ない。
・小児への告知の時期が早い。性感染症ということから、思春期の前(11?12歳)に告知される。

4.HIV/AIDSコーディネーターナース(CN)について
・1970年代後半から1980年代に薬害エイズ問題。その当時の患者さんは診療拒否されることもあり治療を受けられないことも多かった。
・1980年代後半、都内2箇所の病院でエイズ患者さんの診療が本格的に始まる。
・1994年 エイズ拠点病院が整備され、現在は全国に369施設。
・そのような中、エイズ患者さんの側から「HIV/AIDSの専門のコーディネーターナースを病院において欲しい、チームカンファレンスに患者の代弁者として出席して欲しい」という強い要望があり、その患者さんたちの声によってコーディネーターナース(以下CN)という職種が生まれた。
・CNのようなポジションは責任を強く持たなければならないためやり切れない、というナースもいる。しかしCNは患者さんの要望から生まれたもの。これからも患者側からムーブメントが生まれ、こうした役割を担うナースの職場が増えれば、責任を持って働きたいというナースは必ず増えていくであろう。
・CNの機能→患者の生活の視点をもつ医療者としての役割を期待
 1.親身な相談対応
2.知識・技術の教育
3.治療方針の協議
4.患者の権利擁護
5.適切なサービス提供

・CNは、外来通院の患者さんの支援をしており、患者さん一人につきCN2人が専属。外来に来られたときには、個室(相談室)で専属CN症状の相談や薬の内服の相談などを担当したり、またそれをふまえて他職種との調整を行ったりしている。

・CNの活動には診療報酬がついている
参考:(表) ウイルス疾患指導料に関する施設基準
(1)HIV感染者の診療に従事した経験を5年以上有する専任の医師が1名以上配置されていること。
(2)HIV感染者の看護に従事した経験を2年以上有する専従の看護師が1名以上配置されていること。
(3)HIV感染者の服薬指導を行なう専任の薬剤師が1名以上配置されていること。
(4)社会福祉士又は精神保健福祉士が1名以上勤務していること。
(5)プライバシーの保護に配慮した診察室及び相談室が備えられていること。
(『医科点数表の解釈 平成18年4月版』社会保険研究所、126ページより抜粋)


5.HIV/AIDS患者が心配すること
・病気への偏見・差別
・病気を告白された相手の精神的負担 など
 →「誰にも話せない病気」「理解・支援を得られない」

6.豊かな意思決定に必要なこと
・意志決定:修正可能なものと不可能なものがある
・タイミング
・選択肢の有無(相談者も含む)
・決定の方法(決めるのか・決まるのか・決められないのか)

*コンプライアンスではなくアドヒアランス
*人は皆死亡する、という結果は同じ、どのようなプロセスを踏むか
*プロセスを繰り返していくことが大切。繰り返しに付き合える関係であることが大切。

7.質疑応答
・意志決定支援をする相談員にはどのくらいの人生経験が必要だと思うか?
→年齢は関係ないと思う。仕事を始めてから頑張って勉強する人なら大丈夫。
・相談業務は仕事をしている本人が疲弊する業務だと思うがスーパーバイズなどはどうやっていくことが適当だと思うか?
→CN同士で些細なことでも話し合うことが大切。何でも話し合う雰囲気が大切。話し合うことでナース同士も活気づくし仕事に張り合いが出る。


 ??ディスカッション??

・現在の医療では患者が治療の方法を選んでいるとは言えない状況だと感じる。コミュニケーションの中から患者さんの意志を引き出すことが必要なのだと思った。自分は今、病棟勤務だが職場に帰ってからもっと意志を引き出せるように頑張ろうと思う。
・意志決定支援をするCNはチーム医療の中で抜けがちな部分を補っていると感じる。
・決定した内容そのものより、納得して治療を受けるまでのプロセスが大切なのだと感じた。
・CNは時間をかけて患者さんと話し合うことが可能なので、意志決定までに時間がかかる性格の人でも支援ができると感じる。
・HIVであることを告知することは、患者本人と家族や周囲の人の人生が変わるといっても過言ではない。治療は長期間に及ぶため、患者の身近な援助者を探してその援助者も含めたケアを考えていくことが必要。そうすることで、治療への意志を継続する環境が整えられると感じる。
・病気になったとき、「良い患者」という役割で自分は存在していなくてはならないという思いを感じた。そういう周囲からのプレッシャーの中で、意志決定も迫られて辛かった。今の医療の中では決定を留保するシステムが足りないのではないかと感じた。前向きになりたくない、なれない人たちの声は社会で表出されない。
・精神科の疾病を持つ人は、周囲から意志決定できないと決めつけられているように感じた事例があった。
・CNの立場なら患者と同じ歩みができるのではないかと感じた。一度決めたことを撤回したい時、その気持ちも支援できる。
・意志決定支援をするには中立性が大切だと感じる。

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