第3回NON定例会の報告 (伴和美・岩本ゆり)

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開催日・場所
2006年11月19日(日)、東京

参加者
14名(相談員、看護師、助産師、医療コーディネーター、ジャーナリスト、医師、医療コミュニケーション研究者、医療現場における多文化協働の研究者、看護学生、患者家族、医療関連)

ゲスト:保田淳子さん
看護師、オーストラリア在住、日本とオーストラリアの看護師がどのように労働者の権利を意識しているかを、患者さんの移乗介助を通して研究されている方。

テーマ/内容
1.「日本の看護 外国人を受け入れるべきか
10月29日(日)に放送されましたBSディベートを一部参考にして、意見交換。
ゲストの保田さんから、移民大国であり、外国人看護師を多く受け入れているオーストラリアの現状を踏まえて御意見を頂きます。岩本より、BSディベートで議論された内容を皆様に投げかけを行います。

参考資料
NHK BSディベート
シルバー新報記事

2.「移乗介助を通して考える看護師の労働環境問題」
ゲストの保田さんからお話を伺い、それを元に意見交換。

看護師の職業病といえば腰痛です。日本では、患者さんを移乗する際にリフトやホイストなど、便利な道具を使用することは一般的でありません。しかしその一方で、労働者の健康安全=看護師の腰痛防止のため 制限重量というものが 存在することを御存知でしょうか?指針があるのに守られていない現実。看護師が働きやすい職場にするにはどうしたら良いのか。看護師の労働環境問題について考えてみましょう。

参考資料
<Manual handling/No Lift policy を調べられるネットのアドレス>
1.Workcover South Australia (SA)
2.SafeWork in SA
3.オーストラリアの法律を調べる  
4.日本看護協会
 ICN occupational health and Safety 引用
     労働安全衛生 (日本語)
5.労務安全情報センター (日本語) 
重さ制限 
6.看護連盟 SA 
7.オーストラリア政府 
8.オーストラリア看護労働組
9.Jeannette Sdrinis オーストラリア看護連盟スタッフ

意見交換から

1.「日本の看護 外国人を受け入れるべきか」

*反対側の意見

・比人看護師を支えるプログラムがクリアでない
・責任の所在がはっきりしない
・経済とヘルスの問題を一緒に考えていいのか?
・日比経済連携協定(EPA)からの話で、看護協会の方針とずれているように感じる
(→今後、看護協会がどう引っ張っていくかが課題である)
・税金問題と看護を一緒にしてよいのか?
・政府は患者のことを考えていない
・患者の声は聞かれているのだろうか?
・比人からみて日本の労働環境がいい条件とすれば、現状より改善はしない
・人員配置の面で反対
・先進国に看護師が行くことで、自国(比)看護師が足りなくなるという問題がある
・日本人看護師へのサポートも不十分な現状で、比人看護師へのサポートができるのだろうか?
・日本でなぜ看護師が不足しているのか解明されていないのに、外国人看護師を受け入れることで看護師不足は本当に解決するのだろうか?
・日本人の特性(保守的、単一民族)として、特にお年寄りは外国人看護師を拒否する人もいるのではないか懸念している。

*賛成側の意見

・比人看護師は語学力が足りないため、患者の気持ちをわかろうと努力することでコミュニケーションが逆にいい効果を生むのではないかと期待
・人手不足ということであれば、ゆとりを生む
・今の医療現場で人手不足を感じるため
・患者へ精神的ケアを行う余裕が現場にない
・誰かが側にいてくれるのであれば、国籍は関係なく側にいて欲しい
・老人介護施設などでは、優しさが求められる。それほど高度な日本語力はなくてもいいのではないだろうか
・外国人だからといって排除する必要はない
・ノンバーバルな部分でも意思疎通は可能なので、コミュニケーション能力は問題ではない
・受け入れた上でプログラムを作っていけばいい
・やる気があるという人が来ることに、門戸を閉ざす必要はない
・ベトナム人看護師受け入れの研究を通して:多文化協同で働くことは現場にメリットがあることがわかる。
・ベトナム人看護師の80%が日本の看護師国試に合格。この高率の合格率は、手厚い精神的なケアがあってこそであった。今の比看護師受け入れのプログラムでは、現実的に合格者が出るとは思えない
・看護師の労働環境に問題はあるかもしれないが、この機会に、一緒に解決できるのではないかと期待

*その他の意見

・BSのテレビプログラム内で、潜在看護師の復帰訓練をみたが、より不安に感じた。復帰される場合は、現代医療をわかった上でして欲しい。
・オーストラリアでは、比人看護師は、コミュニケーション能力を補うために、きちんと親身になって働くので患者からの受けは良い
・大きな病院・研修体制が整っている病院は、対応できるかもしれないが、小さな病院は、日本人看護師に、外国人看護師の指導を行う余力がない。その場合は、問題が起こりそうである。
・クリニックなど、パートや非常勤看護師の多い職場では、看護師のキャリアがバラバラである。そのような状態で、研修を行える余地があるのだろうか?
・どんな国籍の人がきてもエキスパート看護師が作られる教育プログラムがあることが望ましい
・日本で准看護師と、看護師が同じ仕事をしていることがそもそも問題ではないのだろうか?プロフェッショナルを標示していけば変わるのではないだろうか?
・日本人看護師のプリセプター世代のバーンアウトも問題(指導できる看護師がいない)
・地方では特に看護師が足りていない
・ベトナム人看護師の受け入れの研究を通して:ベトナム人看護師について、差別、偏見もあった。しかし、拒否反応は人によって異なる。病院側がなぜベトナム人看護師を受け入れているのか、その理由を掲示することで、患者さんもベトナム人看護師の存在を認識し、受診することでショックは軽減し、偏見もなくなった。
・大学への留学生の受け入れに関わっていたが、サポート体制がきちんとしていないと、日本に馴染めず帰国する人が多かった。今回も同じことが懸念される

≪まとめ≫
・外国人看護師の受け入れに関して、研修プログラムや労働環境、サポート体制をクリアにしていくことが早急の課題である。看護協会の活躍に期待する。
・コミュニケーションの問題については、外国人だからといって、理解できないとは一概には言えない。母国語でないからこそ、外国人Nsが慎重に、患者さんの気持ちをわかりたいと接することで、患者さんとの距離が縮まることもある。
・医療現場と介護現場で求められるNsの能力には違いがある。
・看護師が働き続けることができる環境づくりが必要。

2.「移乗介助を通して考える看護師の労働環境問」

*保田淳子さんのお話からの気付き

・看護師の労働環境が整うことは、長期間労働につながり、引いては患者さんへ質の高いケアを提供することにつながる
・No Lift policy とは、引く・押す・引っ張る全てをしないこと。Ausには、これらが院内で守られているかを査定する「労働サポート部門」がある。リフトやホイストなど、No Lift policyを達成するために必要な器具が使用できるかどうかのテストが一年に一回ある。
・女性は、12キロ以上の物を扱うことで腰痛になるという結果が出ている(資料5より)。ボディメカニクスだけでは対応できない。
・日本の労災認定は厳しい。腰痛にて認定された人は約45人/年だが、このうち介護に関わる人はここ数年で一名のみの認定であった。
・No Lift policyのニーズは多いのではないか?看護分野・介護分野・家族の負担軽減・本人のQOLの向上のため・整数会社・ベット移動などを行う人(助手さん)のため
・Aus・英では、労災認定が大幅な増加を見せ→コストの削減が必要となり→リフトやホイストがここ数年で飛躍的に整備され(政府から病院へ資金の援助が入った)→看護師へ教育されていった
・海外では、自分の仕事の範囲を書いたJob description があり、 そこに書かれている以外のことはしてはならないことになっている。
・行き過ぎた例としては、庭で倒れた患者さんがおり、救急車が到着してその人を車に乗せようとしたが、リフトは庭では使用できないことが分かった。その場合、救急隊員は患者さんを救急車へ運ばない。労災を防ぐことの方が、患者さんの命より優先されることが起こっている→このような場合、現実的には、看護師が患者さんを運んでいる

≪まとめ≫
・No Lift policyを現場はもちろん求めている。しかし、その実現のためには資金が必要。その資金を誰が出すのかも考えなくてはならない。
・看護協会などの団体でも、まずは現場の声が挙がらないと対応できない。
・アメリカでは、医師も看護師もMSWも皆同じテーブルに乗って意見交換をしている。しかし、それは初めから実現したものではなく、自分たちで草の根的に運動を繰り返し勝ち取ってきた権利である。
・故に、必要性を痛感するのであれば、自分たちでまずは声を挙げなければいけない。
・Quality of care=QOC の獲得を目指すために自分たち一人一人何が出来るかを考えていこう

コメント(2)

現場から離れて20年。潜在看護師が何故折角とった資格を使わないのか?技術や知識は研修でなんとかなると思いますが、あの過酷な日々に戻りたくない。そう思う人が多いのでは?やっぱり日本の看護師の労働条件、評価が確立される事が、急がれていると感じました。紙屋先生が言われていた事に通じると思います。ゆりさんお大事に!

なんと日本語ができない外国人看護師より潜在看護師の方に不安を感じるとは。
あまりのことに言葉も出ません。
あるテレビ番組では普通の漢字すら読めなくて、看護師国家試験の腹腔穿刺や胸腔穿刺と言う問題文の文字すら読めない外国人看護師研修生の姿が映っていました。
なのに「即戦力」だとして解説が入っていた。
なにやら世間では資格試験さえ合格してしまえば、一人前だと、合格がまるでゴールのように言われていますが。
マークシートの資格試験に合格したからといって即戦力には全くなれません。
看護に関して最近のマスコミの報道はおかしいとずっと感じています。頭から潜在看護師がダメだというスタンスで作成された報道は何らかの意図があるのでは?
読売新聞が漢字に振り仮名で仕事しろと書けば、毎日新聞では看護師に専門用語はいらないと書く。毎日サンデーに至っては若い女の子が愛嬌があれば出来る仕事だ、だから言葉ができない外国人でも大丈夫だと書く。
日本人は看護と言う仕事をあまりにも軽くみてませんか。
看護師が辞めて行くのは労働条件が悪いこと、そして世間の評価があまりにも低いこと。
それにつきます。
海外で外国人看護師が大量に働いているのは英語圏の国だけの話です。その英語圏の国でさえも自国の言葉(英語)ができない人は看護師にはなれません。
日本人は言葉の問題をあまりにも軽視しているし、看護と言う仕事もかなり侮っていると思います。

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