第1回ケースカンファレンスの報告 (伴和美・岩本ゆり)

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開催日・場所
2006年8月20日(日)、東京

参加者
12名(相談員、看護師、助産師、医療コーディネーター、ジャーナリスト、臨床心理士、コンサルタントなど)

目的
*「こえのあしあと-電話相談員のひとりごと-」という広野さんのブログの中の「あてのない旅」を下敷きに、電話相談とは、相談するということ、相談者の役割について考える


ケース
*精神疾患をもつ女性Aさんからの電話相談。広野さんは医療者ではないため、電話
相談では、ごく普通の隣人として接している。精神疾患を抱えた人のところに、実は
普通の人にとっての問題が一番早く表れると考えている。

*広野さんの投げかけ
「電話相談を受けていて、Aさんの不安を分かってあげることはできるのか?分かっ
ているとは自負しているけれど、それをどう表現したら相手に伝えられるのか?」

*カンファレンスで出た意見

・広野さんの電話相談の落としどころはどこなのか?
・クライアントに大勢の専門化が関わっている印象がある。そして、クライアントは
その一人一人を使い分けているようだ。誰がメインかは見えてこない。広野さんに
は、何を話しても大丈夫という安心感を感じる。
・本当は話を聞いて欲しい人はただ一人、夫なのではないか?
・Aさんの夫は、自身のキャパシティを越えており、妻の対応をこれ以上は出来ない
状態
・精神疾患の方に関わる場合は、定期的に関わることで効果があがる。本人の波に流
されないで対応することも大切。
・チーム医療といいながら、実際は連携が難しい。働きかけても思うような返答が
返ってこないことも多い。
・チーム医療を実現するためには、そのチームの中心にクライアントがいて、クライ
アント自身が専門職のサポートを受けて自立し、他の医療者に返していく必要があ
る。
・精神疾患を持っている人は自己決定は出来ない
・話せる環境がある、聞いてくれる人がいる、ということだけでサポートになる
・精神疾患を持っている人と関わることは、どう対応して良いか分からないから難し
いし、怖い。
・傾聴することで妄想を広げてしまう危険性がある。
・妄想を広げる危険性も全くないとはいえないが、ほとんどの場合、聞いてくれてあ
りがとうと感謝されることの方が多い。
・精神疾患を持っている人は、周囲にいる人たちが、自分の言っていることを真剣に
聞いてくれなかったり、取り合ってくれなかったりする環境に長くいるため、孤独な
人、寂しい人が多い。
・クライアントの家族や友人は、日常生活の中で、クライアントに普通に接している
はず。医療者も精神疾患だからと特別視することなく、普通に接することは出来るの
ではないか?


*まとめ
・精神疾患の特性(定期的にこちらから関わることが必要。重篤な場合は、傾聴する
ことはよくないこともある。)を考えると、電話相談ではサポートの全てを担うこと
は出来ない。
・そのため、チーム医療が重要となるが、身体的疾患とは違い、精神的疾患の場合
は、チームメンバーの一員にクライアント本人がなることが難しい。クライアント以
外の周囲の連携が通常よりも重要となる。
・精神疾患への恐怖は、専門職だからこそ、の部分もあるようだ。例えば、病院実習
の時に出会った重篤な患者さんとのやり取りの思い出や、失敗体験などが、どう対応
して良いか分からないという苦手意識を生み出している場合も多い。
・傾聴という、通常であればコミュニケーションの要となるスキルが、精神疾患の場
合はマイナスに働く場合があることは事実ではあるが、そうしたケースは非常に特殊
であることも事実である。
・大抵の場合は、身体的な障害と同じように、精神的な障害を負っていても、周囲に
いる人たちと日常生活を送っていくことが出来る。その時に周囲の人が接するのと同
じように、隣人としてクライアントに接していくことはできるはず。まや、クライア
ントもそれを望んでいる。
・チーム医療の実現と、自分自身の偏見が払拭できれば、精神疾患の方への対応が出
来る糸口が見つかるだろう。

・Aさんは、広野さんに真剣に話を聞いてもらうことによって、非常に救われていた
であろう。広野さんの存在が、彼女を追い詰めなかったことは、非常に評価できるこ
とである。それは繰り返し定期的に電話相談を続けていることでも分かる。
・電話相談のゴールは、クライアント本人が満足するまでである。相談し続けること
で満足した毎日を続けることが出来れば、相談は続いていくだろう。その逆に、本人
が満足し、これで十分だと思えば、自然に収束していく。


情報
*今回事例を提供してくださった広野さんも、ご自身のブログで本カンファレンスについて記事を書かれています。ご興味のある方は、「まな板の鯉」を訪問してください。

コメント(1)

先日は参加させていただき、ありがとうございました。
大変有意義なケースカンファレンスでした。
クライアントが満足する相談、納得できる関係をもつ相談者、というのは難しいことですよね。
「難しい」ということを認識することが相談者としての第一歩なのかな、と思いました。
その「難しさ」をひとつひとつ声にしていけるようになりたいと思います。

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