直腸がん患者に新手術 (岩本ゆり)

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少し古いニュースなのですが、、、

直腸がんのため手術で直腸を摘出した患者さんに朗報です。『お尻に肛門を再建 自然な排便が可能に』

これまで、直腸がん患者さんが手術を受ける際の最も重要な関心事は、手術で肛門が残せるか否かということでした。やはり、自然な方法で排便がしたい、ストマを造ることは避けたいという気持ちから、がんの再発と肛門の残存を秤に掛けてきました。医療者も、肛門を残すことが出来る手術方法を長い間探ってきたのです。

そんな中、肛門を残すことではなく、肛門を人工的に作るという画期的な方法が生まれました。そして、実際に手術を受けた方達が、

>満足度は個人差が大きいが、8割の人が「新しい肛門にして良かった」と答え「後悔している」という人はほとんどいないという。

ということです。これは是非、検討してみる価値のある情報だと思います。

ストマは、環境が整い、慣れてしまえば非常に有効な方法です。しかし一方で、認知症やその他の理由で自己管理が難しい場合には、「管理が出来ない」という理由でストマの対象から外れてしまう、つまり原疾患の治療が出来ないということになります。この方法が広まることで、新たな治療の一歩が踏み出せることを願います。

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共同通信社 2005年2月22日より 全文

お尻に肛門を再建
自然な排便が可能に
直腸がん患者に新手術

  直腸がんなどのために肛(こう)門を切除した人は通常、腹部につくった人工肛門から排便しなければならず生活の質(QOL)の低下に悩むことが多い。国際医療福祉病院(栃木県那須塩原市)の佐藤知行(さとう・ともゆき)医師は、直腸がんの手術後にお尻に肛門を再建する新しい手術法に約10年前から取り組み、患者のQOL向上に成果を挙げている。  
 ▽つらい人工肛門
 「従来の人工肛門は肉体的にも精神的にもかなりつらい。がんを治すためとはいえ、新たな障害をつくっているとも言える」と佐藤医師は話す。
 手術で肛門を切除した人は腸の端を腹壁に付け「ストーマ」という人工肛門をつくる。そのままでは便が漏れるため、皮膚になじみやすいのりを使ってビニールの袋をおなかに張り付ける。
 袋の交換頻度は1日数回から2、3日に1回程度だが、「運動する人は体が動いてはがれやすく、工場など暑いところではのりが溶けてしまうこともある」と佐藤医師。力仕事をするとおなかにしわができやすいので、そこから便がしみ出したり、においが漏れたりすることもあり「そういうことが年に1回でもあると恐怖心が大きくなる」(同医師)という。

 ▽筋肉と神経を移植
 佐藤医師は医学部を卒業後、患者に接してこの問題に直面。学位論文の研究テーマとして肛門の再建に取り組んだが、最も大きな課題となったのは、いかに便が漏れないようにするかだった。
 肛門の周りには括約筋という筋肉があり、普段は意識しなくても収縮し、便やガスが出ないようになっている。括約筋は便意という感覚にも関係し排便時に意識すればゆるむなどかなり複雑な機能を持っている。
 ところが直腸がんを切除する際、括約筋は肛門と一緒に切り取られ、多くの機能が失われてしまう。佐藤医師はこれを補うため、近くにある大殿筋を使って括約筋の代わりにする方法を考案。お尻につないだ腸の周囲に大殿筋の一部を巻き付け、括約筋につながっていた神経をつなぎ直した。
 神経をつないでもすぐには機能しないが「6カ月もすると自然に収縮するようになり、若い人では便意も回復する」と佐藤医師。
 大殿筋はもともと括約筋と異なり持久力の高い筋肉ではないが、括約筋につながっていた神経をつなぐと徐々に性質が変わり、括約筋のように常に収縮できるようになるという。

 ▽8割が満足
 犬などで実験を繰り返した後、1995年に人への応用を開始し、これまでに約30人にこの手術を実施した。完全に便の漏れを防ぐことはできないが、ほとんどの患者は下着の内側に女性の生理用ナプキンをあてることなどで対応。温泉旅行や登山に行ったり、ジョギングなどのスポーツもできるようになった。
 満足度は個人差が大きいが、8割の人が「新しい肛門にして良かった」と答え「後悔している」という人はほとんどいないという。
 手術は3回に分けて行う。1回目は直腸がんの切除後、肛門部に腸の端をつなぎ、腹部に一時的に使うストーマをつくる。2回目の手術は約3カ月後。新しい肛門の周りに大殿筋の一部を巻き付け神経をつなぐ。さらに約半年後に新しい肛門が機能し始めたらストーマを閉鎖する。
 現在、この手術を行う医師はほかにいないが「将来やりたいので見学したい」などの問い合わせは多いという。佐藤医師は「新肛門の再建は患者へのメリットが大きく、直腸がん患者の有力な選択肢になる」と話している。

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